焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
このまま出ないわけにもいかない、ゆっくりドアを開ける。
「あのー」
「こんにちは和花菜さん!遊びに来ちゃった」
「……私の部屋にってことですか?」
「そうよ。だってあなた今日休みでしょ?」
「なんで知ってるんですか?!」
「打ち合わせしたときあなたのスケジュール帳が見えて、今日は何も予定が書きこまれてなかったから」
今サラリとすごいことをいったぞこの人。だから遊びに来たと。突然のこと過ぎて理解が追いつかない。
「最近海外から進出してきた洋菓子店のケーキ、買ってきたの。一緒に食べましょ」
掲げられた袋のロゴには見覚えがある。確かにニュースで取り上げられていた。
とても、美味しいエサが目の前にぶら下がっている。
「け、けど私なんかより成宮さんと食べたほうがいいんじゃないですか?今部屋も片づけてる最中で」
ここで釣られてはダメだ。
はっきりとした目的が分からない以上部屋に招き入れるのは危険な気がする。
「部屋が綺麗かどうかなんて関係ないわ。私は和花菜さんと食べたいの!女子トークしましょ」