焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
亜里沙さんは屈託のない笑顔で逃げ道をふさいでいく。
ああ、こうなったらもう従うしかない。
「分かりました。どうぞ、あがってください」
「お邪魔します」
綺麗な所作でパンプスの向きを揃え、私のあとに続く。
なんで私の部屋に亜里沙さんが来てるんだろう。
「今コーヒー淹れますね」
「嬉しい、ありがとう」
きっと成宮さん関連のことがなければ、普通の友達として仲良くすることができたんだろうな。
いつもより慎重にコーヒーを淹れてから、ローテーブルに置いていく。
「和花菜さんは……さんづけって職場みたいね。和花菜ちゃんはどのケーキにする?」
大きな箱の中には色鮮やかなケーキがいくつも入っていた。
「私のお勧めはこのフルーツタルトとガトーショコラ」
「全部美味しそうですね。んー、フルーツタルトをいただいてもいいですか?」
「それ以外にも好きなケーキがあればいくつでもどうぞ」