焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
亜里沙さんはレアチーズケーキを選び、お皿に乗せた。
いただきます、と手を合わせて早速フォトジェニックな見た目のフルーツタルトを一口。
「……っ!!フルーツとクリームが絶妙!」
「ふふ、喜んでもらえてよかったわ」
さすがは有名店のケーキ。
これでもかというくらいタルト生地にのっているフルーツの甘酸っぱさがたまらない。
相当なお値段がするであろうこのケーキを、二人じゃ食べきれないくらい買う亜里沙さんの豪快っぷりもすごい。
「ね、いつから和花菜ちゃんと樹季は知り合ったの?」
きた。やはりそういう話だったか。
「成宮さんが務めていらっしゃるお店がオープンしてすぐの時です。たまたまマスターに誘われてお店に入ったら、成宮さんがいて」
「格好いいバーテンダーがいるな、って?」
小さな口にチーズケーキを運びながら笑う。
「素敵な接客をしてくださる方だなとは思いました」
「サービス料を別でとってもいいくらいよね、あれ」
亜里沙さんは肩をすくめてみせた。それは同感だ。
出迎えてくれた時から帰るまで、ちょっとした非日常を感じるくらいには完璧な対応。
「はい。そのイメージのまま近くのスーパーで会ったんですけど、本性があれだったとは」