焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「俺は、留学先のバーで亜里沙と出会って。はじめはよく飽きもせずに話しかけてくるな、程度だったけど」
直球で裏表なく話してくる亜里沙さんに、次第に心を開いていった。
「亜里沙のおかげで、全部ひとりで抱え込まなくていいんだって思えた。気兼ねなく話せる相手がいて、助かってた」
「私話し上手なうえに聞き上手でもあるから」
「異論はない」
ようやく亜里沙さんが笑顔をみせた。
「亜里沙のことは、大切だと思ってる。でも、これが恋愛としての感情なのかって言われたら」
それは違う、と。
「っ、私以上に樹季を理解してる女は他にいない。ちゃんと付き合い始めたら、恋愛感情が芽生えるかもしれないじゃない」
亜里沙さんが声を荒げて訴えても、成宮さんは首を縦に振らない。
そうしてしばし静かな時間が流れ、亜里沙さんが口を開いた。
「……他に好きな子ができたから、私じゃダメなんでしょう?」
「愛したいって思う人は、いる」
ぎゅっと心臓が締めつけられた。
「いるけど告白するつもりはないんだ」