焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「樹季、私ね、言われたの。誰かを愛するのであれば、傷つき傷つけあうことも大切なんだって」
亜里沙さんの台詞は、ふたりで気持ちをぶつけた時に私が口にしたことだ。
「傷つけることも傷つくことも怖がっていたら、誰も愛せない」
「俺はどうなったっていいけど。相手の気持ちは」
成宮さんは何かを言いかけて、それを飲み込む。
「違う。それでも好きだって伝えないと、何も始まらな-------」
「樹季」
亜里沙さんは、今度は唇じゃなくて人差し指で成宮さんのそれをふさいだ。
「それ以上は、言わないで」
一歩、成宮さんから離れる。
「近くにいる誰かさん。樹季は今、こう考えてるらしいわよ!」
大きな声で、はっきりとこちらに向かって言われた。
これは確実に私が立ち聞きしてたってばれてるよね。
視線を感じて、観念するしかないと影から出る。
「和花菜?いつから」