焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

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「お先に失礼します」

「清水先輩、お疲れ様です」

「おー清水お疲れ」

たまに霞がかかったまま、会社を出る。人波に飲み込まれながら電車に乗っていつもの駅で降りたら。

「雨だ」

いつの間にか雨が降っていた。

そうだ、今日の天気予報で雨が降るかもと言っていたからせっかく傘を会社に持っていったのに。

あの話に気を取られていたせいで忘れてきてしまった。

「そういえば、あの日も雨だったっけ」

今日よりももっと土砂降りのなかバーに資料を届けに行った時のことを思い出す。

足早に家を目指す途中、バーの明かりが見えた。

けどなんとなく目を逸らして、足だけ前に進めていく。

意外と自分以外にも傘忘れて濡れながら帰る人いるんだなーなんて呑気に考えながらも、マンションへ到着。

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