焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
あまり意味がないだろうけどハンカチで服を拭きながら部屋を目指すと。
ガチャッ。
目の前の扉が、開いた。
「……あ」
「……こ、こんばんは」
扉の向こうから出てきた成宮さんは、ゆるいブイネックのシャツにスウェットの格好だった。
その恰好を見る限り、今日はお休みだったってことかな。
「和花菜、もしかして傘差さなかったのかよ」
何やってんだと呆れの色を滲ませる。
「あはは、ちゃんと会社には持って行ったんですけど。帰りに忘れちゃって」
「ちょっと待ってろ」
「え?」
成宮さんはスッと部屋に戻ってしまい、どうしていいか分からなくなる。
私ここに突っ立ってていいの?ていうかなぜ。考えていると本当に一分も経たないうちに成宮さんが戻ってきた。
「ちゃんと拭けよ」
「わっ」
ふんわりとした何かが頭にのったと思ったら、それは成宮さんのタオルだった。