焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
けれどこのまま突っ立っているわけにもいかず、部屋に戻って鍵をかけた。
何をやってるんだ自分は。
彼のことを愛おしいって思うし、ふたりで寄り添っていきたいって思うのに。
成宮さんはさっきの私の態度にも何も言わなかった。
それについて言わなかったし、あの夜の話の続きもしてこなかった。
「前に進むって、決めたんだろ。自分」
前に進むと決めて、でもまた一歩戻って。
成宮さんと出会ってから、本気の恋だと自覚してから前進しては後退してを繰り返してる気がする。
ああどうしてこんなにも恋は難しいのか。
タオルは洗濯機に入れて、いつもよりたっぷりの柔軟剤を投入。
「これ、いつ返そう」
ていうかどう返せばいいのかな。
部屋は隣なんだからドアノブにかけておくとか、帰ってきたタイミングを見計らって渡すか。
とりあえずいつでも渡せるように準備だけしておこうと決めて、寝る準備を始めた。