焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「いつこの気持ちを伝えようか迷ってたけど。もうこれ以上和花菜が悩んだり傷つくところを見たくなかったんだ」
そういって瀬戸さんは、近くで如月さん達とやりとりをしている成宮さんに視線を滑らせた。
カウンターには瀬戸さんが食べたいと言っていた生ハムとチーズの盛り合わせが、あまり手をつけられずに置かれていて。
この話は一旦置いておいて、美味しいチーズでも食べません?
なんて、言えたらどれだけいいだろう。
「和花菜は真面目だから、全部受け止めようとするけど。悩んだときは誰かに頼っていい。最近、お前は悲しい顔をしてることが多いから」
「えっ」
「気づいてたさ。ずっとお前のこと見てきたんだから。その原因も、まあなんとなく想像できる」
鼓動がドクドクとうるさい。
「でも、俺だったら和花菜にあんな悲しそうな顔をさせない。悩ませない」
成宮さんは気づいているんだろうか、この会話に。
こちらには背を向けていて、聞こえているの分からない。
でももし聞こえている上で無視しているのであれば。どうしてですか。
「和花菜、俺の気持ち。受け取って欲しい」
これを飲んだら、私は瀬戸さんの告白を受けたことになるんだろう。
少し、震える指先でグラスをもつ。