焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「不躾な真似をしてしまい申し訳ございません。お代はいりませんので。如月、後は頼んだ」
「はいはい、分かりましたよ」
「えっ成宮さん!?」
隣で接客をしていた如月さんに一言告げて、私の手からグラスを奪った。
それを遠くへ置いたあと、成宮さんにあっという間に手を取られ連れられていく。
なんだこれ、ついていけない。
「どこ行くの?!」
「黙って」
聞いたことのない、冷たい声色。
お店を出て裏側に回り、背中を壁に押しつけられる。背中がひんやり冷たい。
「何でそんなに怒ってるんですか?」
「お前、本当危機感ないのな」
呆れたというようなため息が頭上からふってくる。
「和花菜がさっきまで飲んでたやつ、あれ全部レディーキラーだぞ」
「れ、れでぃーきらー?」
はじめて聞く単語に首を傾げる。
そうすれば成宮さんははぁー、と深いため息を吐いた。
「甘いし飲みやすいけど、アルコール度数は結構高いから酔いやすいんだよ。それをお前は気にせず飲むし」
「でも私、あんまり酔ってる気がしませんけど」