焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「極めつけはテキーラ・サンライズって。何でお前素直に飲もうとしてたわけ」
するり、と頬を指先で撫でられる。
「それは!成宮さんが、何も言ってこないから」
せめてもの反抗で、キッと睨みつける。
「瀬戸さんが私に告白してるって分かってても、何も言おうとしてくれなかったから」
「打ち上げの日。外でお前を迎えにきたあの人を見たとき、思い出したんだ」
深くため息を吐き、私の肩口に頭をのせる。
「和花菜には、選択肢があるんだって。お前のことを一番近くで見守ってやれて、生活リズムも合って、恋人を嫉妬させるようなことをしなくていい男が傍にいる」
なんですかそれ。
全部、私のためじゃないですか。
「あの男の方が、和花菜に必要のない我慢や心配をさせなくていい。……だから俺がその選択肢を潰していいのかって迷った」
でも、と顔を上げる。
「あいつの告白を飲もうとしてる和花菜を見たら。やっぱり、無理だった」
くしゃっと顔を崩し『こんなことになるなら、あの雨の日に強引にでも言えばよかった』とため息をついて私を抱きしめた。