焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「それは、私も同じです。あの日、言えばよかったのに。成宮さんは私が一瞬迷ったような顔をしたから引いてくれたんですよね」
「そっちの方がいいと思ったから。でも……」
「でも?」
「今は違う。俺は和花菜を愛したいって思ってるし、俺が差し出した手を和花菜にとってほしい。いや、俺が和花菜の手をとってみせる」
「……っ成宮さん」
「和花菜だから。ちゃんと愛したいって思えた。傷つけ合うことになったとしても。ふたりなら大丈夫だって」
「それは私も同じです。私だって恋愛が上手なわけじゃないし、今までもどこか遠慮して、本当に愛し合った相手なんて、いませんでした」
そんな不器用同士の私たち。
「成宮さんが綺麗で可愛い人たちに贔屓にされてるのを見て、一切嫉妬しないって言ったら……嘘になります」
人気者に恋をする宿命だ。
「けど、全部の感情を飲み込んででもあなたを愛したいって思うんです」
「和花菜」
「成宮さんに出会ってから、会うたびに好きだって気持ちが大きくなって。けど嫌われたくないからバカみたいに慎重になって」
他人からすればもどかしいって呆れられるだろう。