焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「でも成宮さんに一歩を踏み出さなきゃいけない時もあるって教えられた」
それじゃあどうにもならないこともあるんだと。
「あなたが、私に前を向かせてくれた。だから、気持ちを伝えないとって決めたんです」
自分からも成宮さんを抱きしめ返す。
「俺も、和花菜と話すたびにただの常連じゃなくて、それ以上の存在になってた」
「……嬉しいです」
「でも過去のこともあって、求めちゃいけないんだって言い聞かせてた」
苦しそうに声を震わせる。
「仮につき合ったとして、はじめは我慢できてもいつか崩れるんじゃないかって」
ちょっとしたことでも、積み重なっていけば大きなズレになるかもしれない。
「ちゃんと誰かを愛するってこんなに難しいんだって思った。それでも、和花菜を手放したくない」
「な、るみやさん」
「あいつはお前に……和花菜に。テキーラ・サンライズ勧めたけど。俺だったら『XYZ』を作る」
「XYZ?」