焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

聞こえなかったかな?もう一度、声を張って。

「成宮さん、こんにちは」

「………」

無反応。まるで私がここにいないみたいだ。

「あの、以前作ってくださったホワイト・マルガリータ、今度家でも作ってみようと思って。コツとかあるんですかね」

成宮さんはレモンを手に取りじっと見つめてるだけでこっちを向いてくれない。

何でだろう。私変なこと言ったかな?

成宮さんはただただ無表情で手を動かし続ける。

いつもの柔らかい雰囲気は欠片もない。

それでもここまで話しかけてしまった手前、引くにひけないというか。

「今日はお買い物ですか?買い出しとか?」

「………どいて」

「え?」

「そこのオレンジ見たいから。どいて」

「はっはい!」

ササッとどいて、成宮さんが見やすいようにする。いや待ってそうじゃなくて。

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