焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
純喫茶でコーヒーを淹れてそうな外見。
「最近ここにバーをオープンしまして。よろしければ、寄っていきませんか」
胸元で控えめに輝くネームプレートには『master 天崎』の文字がある。
あ、やっぱりマスターなんだ。
「じゃあ、一杯だけ」
「どうぞ、こちらへ」
柔和な微笑みに緊張がほぐれていく気がする。そんなマスターに続いてドアをくぐれば。
「すごい……」
シックなデザインのバーカウンターやテーブル席、海外ものっぽい雑貨。
それを淡いオレンジが包み込む。
ここだけ、ちょっとした非日常を感じる。
内装だけみるとちょっと敷居の高いお店って感じがするけど、雰囲気があたたかい。
「さぁ、こちらに座って」
「は、はい。失礼します」
案内されたカウンターの席に腰を下ろす。