焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「ああ、紹介するよ。ちょっと待ってて」
マスターはタイミングを見計らってそのバーテンダーに何やら耳打ちした。
そして私を見て笑顔で頷く。
多分そのうち私の方に来るよ、ってことだと思う。
分かりましたという意味を込めて首を縦に振り、カクテルを味わった。
「すごい人気……」
その間も向こうのテーブルから盛り上がった会話が聞こえてきて、あのバーテンダーさんの人気がうかがい知れる。
どんな人なんだろうと疑問に思っていたところで、一区切りついたのか私のもとへマスターと来てくれた。
「和花菜ちゃん、紹介するよ」
「初めまして。バーテンダーの成宮です」
「……っ、初めまして。清水和花菜です」
一瞬で目を奪われた。
ゆるくセットされたダークブラウンの髪に端正な顔立ち、色素の薄い茶色の双眸。
加えてスタイルも抜群。
彼の耳につけられてる華奢なピアスが、オレンジの照明によってキラリと濡れた輝きを放つ。