焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
いや、今日は帰ろうかな。
データの編集でもやろうか。
締め切りはだいぶ先だけど。
後ろ髪を引かれる思いで立ち上がり公園の入り口に向かおうとしたとき。
「こら拓也!!」
甲高い声が聞こえた瞬間、目の前を男の子がボールを追いかけて走っていくところだった。
「あっ、危ない」
お母さんより私の方が近い、すぐに追いかけるけどなかなか距離が縮まらなくて背筋が凍った。
どうしよう、待って、そう思って男の子に手を伸ばす前に。
「こら。危ないだろー」
男の人がしゃがんでボールを片手に掴み、子供を通せんぼした。
「やだもう、拓也何してるの!すみませんありがとうございます」
「いいえ。間に合ってよかったです」