焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

男の子の頭をなでてボールを返したのは、まさかの成宮さんだった。

そのまま親子はもう一度お礼を言って帰っていった。

「……っ、な、なな成宮さん」

「お、和花菜だ。何してんの」

「あー、その。たまにはゆっくり自然を感じるのもいいかなぁと公園にいて」

「へぇ」

成宮さんはお店にいるときに着ているワイシャツ姿に手提げ袋を持っているから、買出しにでも行ってきた帰りだったんだろう。

偶然でも会えたっていう嬉しさと、さっきまで自分が考えていたことが入り混じってどんな顔をしていいか分からなくなる。

「行かないの、店」

「え?」

「今日は飲みに来ないんですか?和花菜さん」

急にバーテンダーモードで話すのはずるい。

私が動揺するって分かっててやってるんですか。

「今日行くかは、悩み中です」

「ま、とりあえず歩くか」

成宮さんに続いてバーへの道を歩く。これ、もう行くこと決定してる気がするような。

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