焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

「じゃあ、連れていってください」

「いいよ、任せな」

ポーカーフェイスと言ってる台詞が全然合ってない。でも、嘘じゃないってことは分かる。

「日にち決まったらすぐ連絡しますね。ってことで今日は帰ります!」

「おー。急に元気でたな」

「はい!失礼します。お仕事頑張ってくださいね」

成宮さんに背中を向けて、足早に歩く。

嬉しくてにやけた顔が隠しきれない。成宮さんと、ふたりきりで一緒に過ごせるなんて。

すぐに帰って予定の確認をしよう、そう心に決めて家を目指した。




―――そして、あっと言う間にこの日がやってきた。

今日に合わせてちょっとお高い美肌パックもしたし、仕事もしっかり片づけて急な連絡が入らないようにした。

浮かれすぎて久しぶりにファッション雑誌を買って服を選んだりもして。

仕事でもクライアント相手の仕事だから気を遣ってはいるものの、それとこれとは全くベクトルが違う。

「早く来すぎちゃったかな」

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