焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「じゃあ私、蜂蜜餡の方をいただきます」
「ほい」
ふたりでゆっくり歩きながら、お団子をパクっとひとくち。優しい蜂蜜の香りがすっと鼻を抜ける。
「おいしい!」
「桜もうまい。ん」
成宮さんに淡いピンク色をの餡を纏ったお団子を向けられた。
これは、その、いわゆる。あれですよね。
でもここで躊躇してたら不審がられるし、こんな程度で恥ずかしがってるのかと思われるのもちょっと癪だ。
「ありがとうございます」
成宮さんの指先に手を添えて、いっこ食べてみる。
「……桜の味!」
「だろうな」
「ほんのり塩気があって甘さとのバランスがたまらないですねぇ」
「はは、めっちゃ幸せそうな顔するじゃん」
成宮さんがクツクツと喉を鳴らして笑う。