焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
たまに人とぶつかりそうになると、自分側に抱き寄せてくれた。
本宮でお参りをして、次はバスに乗って有名な報国寺の竹林へ。
「ここ、景色をみながらお抹茶もいただけるみたいですよ」
「情緒あっていいな。休憩にもちょうどだし」
山門をくぐると、タイムスリップしたような感覚に陥る。
さわさわと揺れる葉の音に、水の音が優しく響く。
苔や木々の若葉色に浅緑、萌葱色。複雑な緑が視界に広がった。
「マイナスイオンたっぷり……って、お待たせしてすみません」
「ふ、気にすんな。和花菜のそういう顔、初めて見た」
「変な顔してます?恥ずかしい」
「いや、ほんとにリラックスしてんだなって顔」
まあ成宮さんといると色んな意味で落ち着ていられなかったからなぁ。
ここにいると夏の日差しが少し和らいで、清涼感のある風が肌を撫でた。
更に奥へ進むと、竹林の庭へ到着。