焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「和花菜、足元気をつけろよ」

「成宮さん巻き込んだらごめんなさい」

「ははっやめろ」

竹林の隙間から空の群青が垣間見える。それを見上げる成宮さんの横顔が、とても綺麗で。

色素の薄い瞳が緑に染まる。

いつまでも見惚れてしまいそうだ。

「っあ、成宮さん。あそこがお抹茶飲めるところですよ」

無意識に手を伸ばしそうになったところで、慌てて目を逸らした。

「あれか。雰囲気京都っぽい」

「確かにありそうですよね。川床みたいな」

店員さんに二人ぶんお抹茶を注文して、ちょうどよく空いた席に座った。

「いいな、ここも」

「さっきの場所とはまた違う景色で趣がありますね。幻想的で」

心が自然と凪ぎいていく。

細かな活字が羅列した資料やパソコンの画面ばかりじゃなくて、こういう自然の色を楽しむって良いなぁ。

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