焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
成宮さんに接客されて落ちない女性はいないだろう。きっとすごくモテるんだろうなぁ。
「和花菜さんは今日初めてここに来てくださったと天崎から聞きました。ありがとうございます」
多分さっき耳打ちしてた時に聞いたんだろう。
「こちらこそ。仕事帰りに美味しいお酒を飲めて幸せです」
「その言葉を聞けて、僕も幸せですよ」
成宮さんは手際よくシェイカーに材料を入れて、強めにシェイクする。
男らしい骨ばった、けれど綺麗な手、腕から腰にかけてのラインまでどこをとっても魅力的だ。
一切無駄のない、美しい一連の動作に見入ってしまう。カクテルグラスに注がれたのは、綺麗なオレンジ色。
「成宮さん、これは?」
「アイオープナーというカクテルです。ブランデーベースにリキュールと砂糖、卵黄を加えてあるんですよ」
「へぇー、卵黄を使うって珍しいですね」
「初めてこのカクテルを知ったお客様は皆驚いていらっしゃいますけど、甘めのテイストで飲みやすいんです」
カクテルにはまだまだ色んな種類があるから、飽きないんだよなぁ。
「このカクテル、色も綺麗ですよね!上からアイボリー、ライトイエローからマンダリンオレンジに変化してるのが最高」
カクテルグラスを見つめて指先でなぞる。飲むのがもったいない。
もはや芸術品だ。