焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
イメージとしては人がまばらに乗る中、ゆったりと景色を楽しみながら江の島に行くんだと思っていたけど。
想像に反して駅は観光客でいっぱいで、電車も普段乗る満員電車とそう変わらなかった。
「和花菜、こっち来な」
「はっ、はい」
成宮さんが自分を盾にして押しつぶされないようにしてくれる。
いやいやこんなの、景色どころじゃない。
「和花菜?」
「はい!?なんでしょう、あ、もっと端に寄った方がいいです?」
「違う。顔赤いから。暑い?酔った?」
ピト、と。冷たい指先が頬をすべる。
それが余計顔を赤くする原因だとこの人は気づいてないんだろうか。