焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「ちょっと暑いなーとは思いますけど、全然気にしないでください」
ひとつ、またひとつと停車するごとにわずかながら人が降りるため、やっとゆとりができた。
「わーすごい、海ですよ海!」
これ以上赤くなった顔を見られるのは居たたまれない、窓の外を指さしてごまかす。
「じゃあもうすぐ江の島も見えるかも」
「ですね」
外の景色に意識を集中させていると、ようやく目的の駅に到着。
生ぬるい風が磯の香りをつれてきた。海岸を目指し人の波にのり歩く。
「うわー可愛い、アイスキャンディだ」
「俺も食いたい。限定フレーバーとかあるってさ」
お昼もがっつり食べたけど、甘いものは別腹だ。
色とりどりのフルーツを閉じ込めたアイスキャンディはどれも綺麗で、食べるのがもったいないくらい。