焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「探してていいよ。髪、縛ってやる」
自分でやります、そう言いかけて、口をつぐんだ。
だってこんなことしてもらえるの、今日が最後かもしれない。
成宮さんの手が、優しく髪を梳いていく。
なんとなく手つきが慣れてる気がするのは、私の勘違いだろうか。
「ほいできた」
「ありがとうございます、探しやすくなりました」
「俺もシーグラスさがそ」
ふたりして海岸を歩きながら綺麗な欠片を探した。
まるで彼氏彼女みたいだ。
みたい、としかいえないのが切ないけど。
「じゅうぶん集められたので、戻りましょうか」
「そうだな、暗くなってきたし」
あと少しで太陽が地平線に沈んでいく。ほかの観光客も帰ろうとしている人が多くなってきた。