焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

耐性がなさすぎるのか成宮さんが大人すぎるのか、いちいち心臓の鼓動が早くなって仕方なかった。

「和花菜、着くまで寝てていいよ」

「起きてます。成宮さんは運転してくれてるのに」

自分だけ隣で寝るなんて。

それに、成宮さんとふたりきりで過ごせる時間があとちょっとで終わろうとしてる。

その大切な時間を寝て過ごすのは、いやだった。

「そっか。なら、和花菜的にはどのスポットが一番好きだった?」

「うーん。どこも捨てがたいですけど、報国寺と江の島の海岸が同率一位ですね」

「俺は北鎌倉が意外と好きだった。小道とか風情があって」

「あ、分かります。静かで街並みが昔ながらの日本って感じで」

私に合わせてくれてるのか、いつもより話すテンポをゆっくりにしてくれる。

会話が途切れることなく今日の思い出を話す。

この時間が続けばいいのにと思うときほどあっという間で。

信号も全部青でスムーズに進んでいく。

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