藍と未来の一つ屋根の下
未来は学校から帰ると真っ先にばーちゃんの病院に行く。


美咲やリー子やカナとの約束は当分お預け。


ばーちゃんの洗濯物を持って帰ると、途中のスーパーで野菜やお肉を買って藍の家に行く。


洗濯機を回している間にカレーを作って、テーブルに置きっ放しなった新聞を片付けて、マグカップを台所で洗った。


てる子ばーちゃんをいつも手伝い、家事をしない有里華に変わって家のことをしている未来は手際がいい。


洗濯物を干し終わった頃、部活が終わった藍が家に帰ってきた。


「おかえり」


藍の家に置きっ放しにしている自分用のエプロンをしたまま、未来は藍に抱きついた。


「おまえきてたの」


未来の頭を片手でポンポン叩いて二階に上がろうとする藍を、未来はギュと抱きしめたまま遮る。


「なんだよ」


「ご飯作った」


「わりいな。無理すんなよ」


こういう時に「ありがとう未来愛してるよ」と言って抱きしめないところが藍。


「ご褒美して」


未来が藍を見上げると、切れ長の目と視線が合う。
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