藍と未来の一つ屋根の下
公園のベンチで膝を抱える未来の横に藍が座った。


自動販売機で買った缶コーヒーを未来の頬にあてる。


「あっつい」


「お前見えるぞ」


「エッチ」


「足おろせ」


未来は素直にベンチから脚を下ろした。


「で、お前はどうするの?」


缶コーヒーのプルトップを開けると藍が聞く。


「選択権ないよ。あのオッサンの家行くしかない」


「そうか」


「あーあ。ママの歴代の彼氏ってイケメンが多かったんだけど、なんであんなオッサンなんだろ」


「オッサンなの?」


「オッサン」


「そこにこだわる?」


藍の笑顔がいつもよりも優しく見えた。


「これからオッサンと生活するのやだなぁ」


「俺の親父だってオッサンだろ」


未来は思わず笑った。


「かずオッちゃんて女子高生が目の前にいるのにさ、全然気を使わないよね」


「今さらだろ。親父お前のこと家族だと思ってるからな」


その言葉に未来はまた涙が出そうになった。
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