藍と未来の一つ屋根の下
クリスマスのその日、ばーちゃんは婦人会のクリスマス会に出てくると言った。
藍は学習塾の授業が終わるとそのまま駅前のケーキ屋に向かった。
藍が物心つく時からあるケーキ屋「クーヘン」のクリスマスケーキを買ってきてほしいと、てる子に頼まれている。
鍵を開けて玄関をあけると、未来のスニーカーがあった。
リビングとダイニングの電気は消えている。
冷蔵庫にケーキの箱をしまうと、藍は二階の部屋に上がった。
部屋の扉は開いたままだった。
見慣れた部屋のベッドには、小さな頃から見慣れた後ろ姿が見える。
色素の薄いセミロングの髪は光に当たってキラキラと茶色にそまっている。
グレーのニットに白い膝丈のフレアのスカート、グレーのニットタイツ。
見慣れているはずの未来の後ろ姿が、藍にはやけに小柄に見えた。
「おい」
ベッドに乗り込んで窓を閉めると未来の寝顔が目に入った。
白い肌に長い睫毛。
「風邪ひくぞ」
藍は未来に掛け布団をかけようとするが、未来は掛け布団の上にそのまま横になっている。
藍が気持ちよさそうに寝息をたてる未来の頬に触れると、頬は12月の外気のように冷えていた。
藍はふと中学一年生の春を思い出す。
藍は学習塾の授業が終わるとそのまま駅前のケーキ屋に向かった。
藍が物心つく時からあるケーキ屋「クーヘン」のクリスマスケーキを買ってきてほしいと、てる子に頼まれている。
鍵を開けて玄関をあけると、未来のスニーカーがあった。
リビングとダイニングの電気は消えている。
冷蔵庫にケーキの箱をしまうと、藍は二階の部屋に上がった。
部屋の扉は開いたままだった。
見慣れた部屋のベッドには、小さな頃から見慣れた後ろ姿が見える。
色素の薄いセミロングの髪は光に当たってキラキラと茶色にそまっている。
グレーのニットに白い膝丈のフレアのスカート、グレーのニットタイツ。
見慣れているはずの未来の後ろ姿が、藍にはやけに小柄に見えた。
「おい」
ベッドに乗り込んで窓を閉めると未来の寝顔が目に入った。
白い肌に長い睫毛。
「風邪ひくぞ」
藍は未来に掛け布団をかけようとするが、未来は掛け布団の上にそのまま横になっている。
藍が気持ちよさそうに寝息をたてる未来の頬に触れると、頬は12月の外気のように冷えていた。
藍はふと中学一年生の春を思い出す。