藍と未来の一つ屋根の下

「今日はママが仕事休みだから」

未来がもう一度ハッキリと言うと、純はため息をつきながら笑った。

「あー、まぁ、ミクちゃんちは特別な事情っていうか、母子家庭とか大変そうだもんね。俺そういうのは割と理解ある方だから」

未来の最寄りの駅で車を停めると、純は「またね」と言って手を振った。

未来が手を振ろうとすると、シルバーのワンボックスカーはロータリーから早々と去っていく。

未来は駅のダストボックスにカフェラテの紙コップを捨てて時計を見ると、16時だった。

通話ボタンを押す。