藍と未来の一つ屋根の下

見られちゃったね

午後の授業が終わって帰り仕度をしていると、藍の視界にグレーのスカートが入ってきた。


座ったまま顔を上げると巻き髪をゆるく三つ編みにした優が笑顔で立っていた。


「おっつかれー」


一年生の教室に入ってきた二年生の優は明らかに浮いているが、優は気にする様子がない。


「この前はありがと」


「もういいって」


「ねえ、お茶いかない。この後」


優はピンクのグロスを塗った唇の端を引き上げる。


「…お礼ならもういいよ」


立ち上がった藍の耳に優が厚い唇を近づけた。


「私友達になっちゃった。未来ちゃんと」


藍が驚いたように優の顔を見る。


「やっと表情変えた」


優は白い歯を見せてクシャッと笑うと


「ね、お話ししよ」と藍の腕に自分の腕を絡ませた。


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