藍と未来の一つ屋根の下
「その2年の人なんか見たことある気がして、部活の先輩に聞いてみたんだよね」


「どういう人?」


ユーリンと窪木の会話を未来達は黙って聞く。


「青山君て顔はいいけど硬派なイメージだったから、彼女が全然イメージと合わなくて」


「名前覚えてる?」


「なんだったかな。佐橋みたいな」


窪木の言葉に未来はハッとする。


数日前にS高に来た佐橋優。


「先輩に聞いたら2年の間では結構有名な女みたいよ。男に思わせぶりなことしてその気にさせて、自分はモテると思ってるタイプの人」


「なんでそんな女が青山と付き合ってるの?」


「だからうちらも意外だねって」



***



未来達は一旦教室を出ると、購買のある食堂のテーブルに座った。

「てか、人違いとかじゃね?」


美咲が聞くとユーリンが


「2年の先輩に聞いて情報集めてみる」


と答えた。


「未来はどう思う?」


カナが未来の背中をさすりながら聞いた。
未来は黙って首を振った。何も考えられなかった。


「てかそれ本当の話だったらマジ許せないんだけど」


美咲は今にもサッカー部に乗り込みそうな勢いだった。


未来は何も言わずに下を向くことしかできなかった。
< 94 / 148 >

この作品をシェア

pagetop