Honey Drop
食事を済ませ手早く片付けに入った
その勢いに乗ってシャワーも済ませる
高校時代のジャージを身に纏い
自身の部屋から文庫本とノート、小さな蝋燭を片手にリビングに戻ってくる
母親が昔から用意してくれるお洒落な蝋燭セット
香りが漂うアロマ効果の蝋燭から、繊細なデザインの蝋燭まで
奈央自身は火が灯れば何でも良いので個性的な蝋燭に興味は全く無い
適当に選ばれたお洒落な蝋燭にマッチの火が灯される
お洒落な蝋燭は視的効果やアロマ効果なんて言うオマケのようなものは無視され
一定の周囲のみを明るく照らす
役目のみ果たし続けていた
奈央の手元にある1冊の文庫本
推理小説が好きで
尊敬している作家の推理小説を読むのが唯一の楽しみでもあった
テーブルに置かれたノートは感想を記載する為
同じ本を数回にわたり読み返し
ノートに感想を記す
ただそれだけの為のノートなのである