さよなら、Teacher
「もう、私が居なくても大丈夫ね。
今日は、お別れを言いに来たの。
ヒロくん、私達、終わりにしましょう」
「…え?」
ヒロは、恵が何を言っているのか、わからない。
眉をひそめながら、恵の表情を読み取ろうとしている。
恵はなるべく感情が入らないように、淡々と続けた。
「4月になれば、あなたは受験生、私は社会人。続けられるはずがないわ」
「今さら、何言ってんだよ」
ヒロの顔から笑みが消える。
王子様のような輝く笑顔。もっと、見ていたかったな。
「お互い、自分に見合った相手を見つけましょう」
「ちょっと、待てよ。
何それ。見合った相手って何?わかんねぇよ。
メグ、俺がキライなのかよ」
ヒロは乱暴に、恵の肩を掴んだ。
2人の視線が重なる。
大好きなヒロの顔が、怒りと戸惑いで歪んでいた。
ーこんな顔、させたくなかったのに。
恵は、彼の制服をツンとつついて、自分の肩を掴む彼の手を払った。
「…子供ね。あなたは、やっぱりまだ17歳の高校生よ。
今までは、私も大学生。でも、これからはもう学生じゃない。
付き合っていくなんて、できないわ。
世の中、好き嫌いの感情だけで渡っていくことなんてできない。
未成年の高校生は、同じ学生さんがお似合いよ」