さよなら、Teacher


アパートの扉に鍵を差し込む。

だが回さず恵は鍵をもう一度ポケットに入れた。


なんだかもう少し飲みたい気分だった。
しかも1人になりたくなかった。

かといって土曜日の夜。急に呼び出して会ってくれるような友達はいない。


実家の事、家族の事。聞かれたくないから親しい友達は作りたくなかった。


恵は、コンビニでビールを買い、人の多い駅前のロータリーで人を待つフリをしてビールを飲んだ。
大勢の人々が恵には目もくれず、流れを作るのをぼんやりと見つめた。


ー淋しいなぁ。


知っている顔は一つもない。皆、早足で去っていく。たまに人待ちで足を止める人も、すぐに相手と会って去っていく。

こんなに大勢の人がいるのに、恵は孤独を感じていた。



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