さよなら、Teacher
「それがさー、今までノリが良くて好きだった歌がさぁ、実はフラれた男の恨みがましい歌だったって知ったらおかしくって。
調べる単語が、"寂しい"だの、"あの頃"だの、"戻って"だの暗いのばっかで。オレ、知らずに耳で聴いて歌ってたんだよな〜」


ケラケラと笑ってヒロは、英語の歌詞で耳に覚えていた通りに歌い出す。


「やっぱ、英語って面白いかもしれないなーって思った」


ヒロの英語力は、みるみる上がっている。本人にやる気が出ると、まるで乾いた砂が水を吸い込むかのように吸収していく。


恵もやりがいを感じた。彼には、教える、というより、楽しむ、という学習法があっていた。

やっぱり、教師は良い。都会の生活は憧れていたほどのものではなかったが、教師には、ますますなりたくなった。

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