さよなら、Teacher
恵の夢は高校教師。
その為に東京の大学の教育学部に通っている。
実家は山と川と温泉がある自然豊かなところ。携帯が繋がりにくく、不便なところ。

ーーなにも、ガッコウの先生さなるなら、地元の国立大学に行けばええじゃろが。

両親は、そう言っていたが、恵は、どうしても東京の大学に行きたかった。
ドラマのような世界に憧れ、都会で生活してみたかった。

姉のように。

恵には、歳の離れた姉がいた。
地元でも有名な、美人で頭もいい才媛。
彼女は高校を卒業後に上京。そのまま戻らなかった。今だに、絶縁状態だ。


姉のこともあり、1人残った娘を上京させることに両親は反対だった。
だが恵は、教師になる、という夢の実現を目指す為に、東京の大学で専門の勉強がしたいと、説得。
学費以外の生活費はなるべく自分で何とかすることを条件に、許してくれた。


狭くて小汚いアパート暮らし。いつもお金がなくて辛かったが、それでも都会の街中を歩けるだけで嬉しかった。

このまま、東京で教師になりたい。それが今の恵の夢だった。



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