さよなら、Teacher
ヒロは、恵の異変に気付き、何げなく顔をのぞきこんだ。

「どうしたの?顔が真っ青だ。具合悪い?」


「いいえ、大丈夫。
ヒロくん、すごいね。頑張ったものね」

無理やり浮かべる笑顔も痛々しい。

「う、うん。英語の授業もさ、聞いてて少しわかるんだよね。メグミ先生のおかげだよ。自分でも、まさかこんなに力がついてるなんて思わなかった。

サンキュ、な」


ほんの些細な感謝の言葉。でも今の恵には何より暖かく心に触れる。その暖かさに、ついに我慢していた涙がにじみ、こぼれた。

「どうしたの、メグミ先生?今日、変だよ。やっぱり何かあったんでしょ?」

「…ごめん、ヒロくん。今日はダメみたい。別の日に振り替えてもいいかな」

一度流れ出したら、止まらない涙。ヒロの差し出したティッシュで慌てて押さえる。

「それは構わないけどさ、何があったんだよ、メグミ先生。カレシとケンカでもしたの?それとも、実家で何か言われた?

話してよ。話せばスッキリするかもよ?」
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