さよなら、Teacher
ーヒロは王子様なんかじゃない。
ヒロは、高校生。私の初めての生徒…


すうっと背中を冷たいものが走って、現実に戻る。


ー私、高校生と…自分の生徒と、寝てしまったんだ…

5つも離れた年下の高校生。しかも、自分の生徒と寝てしまったという事実が重くのしかかる。
暖かくなっていた心が、一気に罪悪感に染まっていった。



「ヒロの武勇伝がまた一つ、増えたね。あ、でも私なんて数のうちに入らないか。

ありがとう、ヒロ。こうなってしまったからには、もう、ここには来れない。
代わりの人、探すね」

恵は床に散らばった衣服を身につける。

家庭教師の女性と寝るなんて、ヒロにとってはいつものこと。恵だけ特別なワケがない。



いくら失恋して淋しかったからといって、ヒロに助けをもとめるなんて…
たとえ、彼が真剣だと言っても、それを真に受けて…分別のある大人がする事じゃない。
< 46 / 104 >

この作品をシェア

pagetop