さよなら、Teacher
急に変わった恵の態度。ヒロは納得いかないのか先程の甘い笑みとはうって変わり、ベッドの中でぶ然としている。


「メグ、どうして?オレと寝たこと後悔してるの?」

後悔してないと言えばウソになる。
でも、失恋したての恵には、自分が必要とされたこの優しい時間は何よりうれしかった。だから、否定はしたくない。


「オレのこと、生徒じゃなく、1人の男として見てくれよ。
オレ、メグに惹かれてる。痛感した。女と寝て、こんなに満たされた気持ちになったのは初めてだ」


ヒロは優しい。恵に押し寄せる『後悔』を、『恋愛』に変えようとしてくれようとしている。


「…何言ってるの、物足りなかったでしょ?ヒロと違って私、経験少ないし」

「数じゃないよ。そりゃオレが遊んでばっかなのは認めるけど、こんな気持ちは初めてなんだ」


ヒロの言葉は正直嬉しい。でも、大人の自分は、これ以上高校生のヒロに甘えちゃいけない。


「この一カ月、私も楽しかった。
もう、会うこともないね。住んでる世界が違いすぎるもの。
色々ありがとう。


さよなら、丹下君」



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