さよなら、Teacher
翌日。


恵はショーウィンドウにうつる自分の姿を見て小さく笑った。

まったく、今日一日驚いてばかりだった。どの店に行ってもVIP待遇。まるでシンデレラの時間のようだった。


人気店らしく客が大勢いる美容室では、
「若月様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました」
と店長自らが飛んできて、恵を美しく磨いてくれた。



洋服は、もっと驚いた。
指定された店は、「JUNN」。
黒と金の装飾もゴージャスな店構えからして、オシャレ。入り口には巨大なポスターが貼ってあり、恵はそれに目を奪われた。


「ねー、このポスター、AYUMIじゃない?パリコレモデルの」
「あ、ホントだ。こんなにカッコイイ系だったっけ?こういうのも着こなすね〜さすが」

通りすがりのカップルの会話が聞こえる。


ーヒロには悪いけど、無理。入れない…


回れ右をして、帰ろうとした。
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