さよなら、Teacher
「もう、ヒロったら…」

恵は、ヒロに体を寄せた。
これが、恋。ついに走り出してしまった。
もう、止められない。傷ついたっていい。
彼こそ求め続けた自分だけを愛してくれる、ただ1人で最高の男…


「あれはね、ジュンさんのお店で会ったヒロの先輩という方の言葉を思い出したの。

すごくカッコイイ方ね、一条拓人さん。
『間違いなく、ヒロは《アリオン》の鍵になる。アイツは最高の男になるよ』って。
『共に最高の高みに登ろう』って伝えて欲しいって…ちょっと、ヒロ、どうしたの、顔、真っ赤だよ?」

「マジで?一条先輩が?最高の男って言ってくれたの?
すげー!すげーうれしい!メグ、やった!」

「後輩思いの素敵な先輩ね?大学生なのかしら」

「一条先輩はすごい人だよ。
世界の一条。一条グループの次期総帥。オレなんか足元にも及ばない。尊敬してる。
いつもオレの事、気にかけてくれるんだけど、くれる言葉は厳しくて。
そっか、メグに、そう言ってくれたんだ」

弾けたように嬉しそうな、ヒロの顔。

「メグ、一条先輩に認められたんだ。
オレの側にいる事。もう、迷わないで。
オレも、もう決めた。
オレ、一条先輩と同じ高みを目指す!メグが居れば、百人力だから!」

初めて出会った時とは別人のような生き生きとしたヒロ。
必要とされる限り、全力で側にいる。自分の全てをかけて、ヒロを支えたい。

夜景の美しい街並みをヒロと恵は手を繋いで歩き出した。
一緒にいるだけで楽しい。幸せ。
恵がずっと夢に描いていた恋人同士の時間がそこにあった…
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