さよなら、Teacher
ヒロは、自室に入るなりドサッとベッドに横になる。
「ちょっと、ヒロくん、勉強は?」
「適当に休んでてよ、先生。
今までの先生、皆そうしてたから。本読んだり、ゲームしたり。
中には俺と寝る為だけに来てる女もいたぜ。センセは、どうする?」
「どうするって…私はヒロくんに英語を教えに来たの」
「ハン、勉強なんてやる気はねぇよ」
ヒロは、ダルそうにゴロリと恵に背を向けて横になったままだ。
恵は小さくため息をつくと、部屋の片隅に積み上げられた参考書を手に取る。
以前の教師達が置いていったらしいそれらは、ほとんどが手付かず。
一冊一冊丁寧に中を確認すると、一番下の中学一年用の参考書だけが半分ほどやってある。どうやらここで挫折したらしい。