さよなら、Teacher
「お久しぶり、恵さん。思いもかけないところで会いましたね」


口火を切ったのは、歩だった。恵はびくりと体を震わせうつむいた。


「恵さん。

一度お会いしたかったんですよ。結婚式の時も病気で参列して頂けなくて…
うん、こうして見ると、歩にやっぱり似ていますね、声なんてそっくりだ」


恵は結婚式など招待すらされていない。

そんな事は知らないのだろう。
久坂は硬い二人を和ませようとしているのか、単に場が読めないのか、その場にそぐわない明るい声を出す。


「あなた、私、久しぶりに恵さんとお話してきていいかしら。
丹下さん、少し、恵さんをお借りしますね」

有無を言わせぬ歩の強い迫力。
周りが何も言えない間に、歩は恵の腕を掴み会場を出た。そのまま恵は、ひと気の無いホテルの化粧室に連れ込まれた。

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