さよなら、Teacher
12.さよなら、ヒロ


年が明けた。

大学卒業も近いというのに、恵の姿は就職室にあった。
このままでは、実家に連れ戻される。恵は、必死だった。

「あ、若月さん、就職まだだったよね?
今日、しかも今、急に入ったんだけど、これどうかしら」

勧められたのは私立高校の産休代行講師だった。
「一年間なんだけど、場合によっては正式採用もあるようだし」
一年でもとりあえず構わなかった。恵は面接の予約を取り付ける。
面接は明日ということなので早速アパートに戻って準備した。

もし、実家に戻る事になれば、たぶんヒロとは終わる。彼は遠距離でも頑張れるとは言ってくれるが、無理だろう。

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