さよなら、Teacher

翌日。

恵は私立光英学院高校の門をくぐった。ちょうど授業中で校舎はシンとしている。
有名な進学校とのこと。恵は大きく深呼吸して面接に臨んだ。

「若月恵さん、ですね。藤原教授から直々によろしくと、連絡を受けていますよ」
恵が切羽詰まっていることを知っているゼミの教授が、ここの校長と知り合いだからと連絡してくれたのだ。

「ほう、特技は、水泳ですか」
「はい。実家のそばに川がありまして、子供の頃から泳いでいました」

「それは、ちょうどいい。我が校の水泳部の顧問がこの三月で定年なので、困っていたところなんです。
何か、記録はお持ちですか?」
「高校3年間、インターハイに出場しました。最高位は3年の時の5位入賞です」

「それはいい!大歓迎だ。
若月さん、4月からとりあえず1年間、よろしくお願いしますよ」
「はい!こちらこそ、よろしくお願い致します」
< 93 / 104 >

この作品をシェア

pagetop