さよなら、Teacher

ようやく、ようやく期間限定ながら恵の就職が決まった。
足取りも軽く恵は校舎を出る。ちょうど休み時間のようで、あちこちに生徒が溢れていた。

この子達が4月から、私の生徒になるんだ。

うれしさがこみ上げる。
若さと元気に満ちあふれた空間。制服姿もまぶしい。
制服はオーソドックスなブレザー。見覚えがあるような気もがするが、街中でよく見かけるタイプだからだろう。

恵は学生たちの声を聞きながら、ゆっくりと学校を後にした。



今日は週に一度の家庭教師の日だ。
就職が決まれば、バイトもおしまい。
なんだか淋しいけど、これからは、ただの恋人同士だ。

ヒロはきっと喜んでくれる。心配かけちゃったな。
すぐに、知らせたいけど、まだ学校だもの。

ヒロ…

ヒロ…?

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