さよなら、Teacher

残り2回。恵は家庭教師として出来る限りヒロをサポートしようと決心していた。


この日は、丹下家に久典の客が来るという事で特別に恵のアパートで勉強だ。


「これ。今日の小テストなんだけどさ、わかんないところあって」

「どれ?あ、これね。そこ、スペルミス。気をつけて」

「おっと。

うーん。なんか、この文章つまんねーな。ちょっと休憩!」

ヒロは椅子の上で両腕を伸ばす。
その腕で隣で教材に目を落としている恵を抱きしめた。

「あ、こら、勉強中よ」

「やる気の、補給〜」

小鳥がついばむような軽いキスを落としてくる。恵は、苦笑いしながらもキスを受けた。

「メグ〜、シタイ」
「だめ。勉強中」

胸元に伸びてきたヒロの手を冷たく払い、恵は体を離す。

「ちえっ。先生モードのメグ怖いよ。
じゃあさ、問題出してよ。全問正解したら今日はおしまい。イチャイチャタイムね」

「もぅ、何ソレ。
まぁ、いいわ。じゃあ、これ」

「よぉし、直ぐに終わらせてやるぞー」



勉強中も、恋人の時間も、いつでも、大好きよ、ヒロ。



宣言通り一発で見事に全問正解したヒロは、まるで肉食動物のように恵に食らいついた。


別れたくない。ずっと側にいたいよ。こんなに好きなのに。

恵は、ヒロに抱かれながら泣きそうになる。
ヒロは恵の事には敏感だ。
思いを悟られたくなくて、一瞬でも忘れていたくて、ヒロにしがみつき行為に溺れた。



今日が終わればあと1回。次回が、最後だ。
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