握った、手。
「男」を刺しながら、この「塊」は何だったのか考えている。
飛び散る血液や、たまに当たる骨のようなものから、ごりごりごり、と刃から伝わる感覚が、私を肯定している相槌のようで、心地好い。
手も腕も疲れているが、やめられない。
例えば私を抱く時に、見下した眼はもう白く染まっていてそそられないし、私を突き上げていたものは、何処にあったか解らない肉に成り果てていて、繋いだとて、もう紡ぐことのできない愛のようで馬鹿らしい。
刺して、抜いて、刺して、抜いて。
繰り返すこの行為が、かつて「互い」を感じた性的な行為のようであり、嗚呼、今は自慰に成り下がってしまったな、と嘲笑える。
少しづつ忘れて、溶けて、解けて、無くなって、何処からか沸いた「赦せない」だけが、水を注いでも溜まった砂糖のように甘く、私を促した。
たった、それだけよ。